病原性大腸菌O157について

 

1.大腸菌って病原菌なの?

大腸菌は私たち人間を含め動物の腸内に普通にみられます。迷入感染(例えば通常無菌であるはずの膀胱内に入り込み膀胱炎を起こす等)を起こす以外は通常、非病原性です。

しかし、一部の特殊な病原因子産生能を獲得した大腸菌は、人に腸管感染症を引き起こします。このような、人に腸管感染症をひき起こす一群の大腸菌は「病原大腸菌」(あるいは「下痢原生大腸菌」)とよばれています。

現在までにわかっている病原性大腸菌は5つのカテゴリーに分類されています。

1.腸管病原性大腸菌

2.組織侵入性大腸菌

3.毒素原生大腸菌

4.腸管出血性大腸菌

5.腸管凝集付着性大腸菌

2.腸管出血性大腸菌とは?

人や動物の腸管内あるいは食品や河川水などの自然環境に広く分布する大腸菌のうち一部のグループの大腸菌はヒトに下痢症(食中毒)を起こし、病原大腸菌と呼ばれています。

これらの大腸菌の中にはコレラやサルモネラに類似した性質ですが、腸管出血性大腸菌は、これらとは異なった毒素を出す新しい病原大腸菌です。ベロ細胞(アフリカミドリザルの腎細胞)などの各種培養細胞を殺す強烈な毒素を産生し、この毒素をベロ毒素(VT:Verotoxin)と呼び、このベロ毒素が下痢や腹痛、あるいは腎障害などを起こさせます。

ベロ毒素を産生する腸管出血性大腸菌はO157、O26、O111など60種以上の血清型が知られており、この中でも全国的にO157に食中毒が圧倒的に多いです。沖縄県ではこのほかにO26によるものも多く発生しています。

3.O157感染症の潜伏時間と症状

O157による感染症の潜伏期間は長く2〜7日、平均約5日前後です。

患者は強烈な腹痛で始まり数時間後に水溶性下痢をひき起こします。そして1〜2日後に血性下痢(下血)がみられ、嘔吐をともなうことがあります。しかしながら、血清下痢の頻度は少なくほとんどが水溶性下痢で回復します。

また、溶血性尿毒素症候群(HUS)にいたることも少ないようです。

4.O157と溶血性尿毒素症候群(HUS)

腸管出血性大腸菌O157感染症の恐ろしさは下痢症状に加えて一部の患者は発症後にHUSを併発することです。

HUSとは、赤血球破壊による溶血性貧血、血小板減少および急性腎不全を主症状とする症候群です。

一般に乳幼児や学童に多発し、重篤な疾患で死に至ることもあるので適切な治療が必要です。

5.腸管出血性大腸菌O157と二次感染

腸管出血性大腸菌感染症、特にO157感染例では、その感染菌量が100個程度と非常に少ないため、ヒトからヒトの二次感染がかなりの頻度みられています。

沖縄県内の保育園で発生した事例では、患者と接触のあった園児および家族9人が感染した事例があります。

また、O26についても同様に18人の接触感染と思われる事例が発生しています。このように、本菌は赤痢菌などの伝染病菌に類似して病原性が強く、特に老人や、小児では少量菌でも感染が容易であることを示しています。

 

これでO157をシャットアウト!

沖縄県での患者発生状況


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