沖縄産ハリセンボン類の調査

調査の概要

沖縄県では、フグの仲間であるハリセンボン、ヒトヅラハリセンボン、ネズミフグ、イシガキフグ等のハリセンボン類を古くから「アバサー汁」として賞味している。アバサー汁にはハリセンボンの肝臓をすり潰して混ぜることにより、その独特の風味を出しており、肝臓は欠かせないものである。

ところで、厚生省ではフグによる食中毒の防止を図るため、昭和58年通知「フグの衛生確保について」により、人の健康を損なうおそれがないと認められるフグの種類及び部位を定めている。その中でハリセンボンの筋肉、精巣は可食部位となっているものの、肝臓については記載がなく、また沖縄では古くから食用にされているにもかかわらず、これまでハリセンボンの肝臓についてのまとまった調査例がなく、その毒性については不明であった。

そこで肝臓の無毒を示す一つの指標とするため、沖縄近海で漁獲されるハリセンボン類を収集し、肝臓及び筋肉についてフグ毒の試験を行った。

調査したハリセンボン類及び数

県下の漁業協同組合をとおして、食用にされているハリセンボン類を収集した。以下にその写真及び収集した数をを示した。
(写真をクリックすると大きく表示されます)

1.ハリセンボン(47匹)

 2.ヒトヅラハリセンボン(140匹)

 3.ネズミフグ(82匹)

 4.イシガキフグ(36匹)

試験方法

筋肉、肝臓からのフグ毒の抽出は、食品衛生検査指針理化学編(厚生省生活衛生局監修 1991年)の方法で行い、イオン交換樹脂(Amberlite CG-50 NH型)によるカラムクロマトグラフィーで精製した後、高速液体クロマトグラフィーでテトロドトキシンの検出を行った。定量下限値は試料濃度として0.5μg/gで、マウス単位に換算すると2.3MU/g(1MU=0.22μg/gとした場合)であった。

高速液体クロマトグラフィーの測定条件を下表に示す

 

高速液体クロマトグラフィーによるテトロドトキシンの測定条件

カラム  Cosmosil 5C18−AR(4.6×150mm)
同ガードカラム(10mm)付き
移動相 7mM 1−ヘプタンスルホン酸Na及び2%メタノールを含む0.02M酢酸緩衝液
反応試薬 4N NaOH
流速 1ml/分(移動相、反応試薬)
反応槽 ドライオーブン(ステンレスチューブ10m)
反応温度 150℃
測定波長 励起365nm、 測定 510nm

 

結果及び考察

ハリセンボン47匹、ヒトヅラハリセンボン140匹、イシガキフグ36匹、ネズミフグ82匹の合計305匹のハリセンボン類の肝臓、筋肉中のフグ毒の検出を高速液体クロマトグラフィーを用いて行ったが、いずれからもテトロドトキシン及びその関連物質(4-epiTTX、anhydroTTX)は検出されなかった。

沖縄ではハリセンボンの肝臓を古くから食用としてきたにもかかわらず、これまで中毒の報告例がないこと及び本調査の結果より、ハリセンボン類の肝臓は無毒であると結論した。

 


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沖縄県福祉保健部 薬務疾病対策課 098-866-2215

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1.ハリセンボン(47匹)

 

 

 

2.ヒトヅラハリセンボン(140匹)

 

 

 

3.ネズミフグ(82匹)

 

 

 

 

4.イシガキフグ(36匹)